SS置き場

 

『転生』 (7/9)

はじめに

 由佳里エンド後で瑞穂と由佳里の子どもが登場します・・・ってその時点で既に「超展開」過ぎです・・・やっぱり私の頭は違う宇宙でできてるんですぅ〜〜(泣)

 一子ちゃんが由佳里に魔法をかけて消えていったあの日から、もう何年になるだろう。あの日のことを、いつまでもきっと、僕たちは忘れない。

 寝室にて、由佳里は少し出てきたお腹をさすっている。
 「おね…あなた、私たちがこうして幸せなのも、一子ちゃんのおかげですよね。生まれて来る子には、一子ちゃんから名前をもらったらどうかな?と思うんですけど…」
 「そうだね。じゃあ…一子ちゃんの一をもらって『はじめ』って名前はどうかな。男の子にも女の子にも使えるし」
 「すてき!私もそれ、考えてたの」
 「じゃあ、決まりだね」
 確か一子ちゃんの知っている昔のマンガにそういう名前のキャラがいたような気がしたのだけれど…後々思うと、これがいけなかったかもしれない。

 無事に生まれた。女の子だった。髪の色が僕にも由佳里にも似ず黒かったので、まるで…そう、本当に一子ちゃんが生まれ変わって来てくれたのかと思った。そのことを由佳里に告げると、心なしか顔が蒼ざめたような…?
 「おおお姉さま、これって何か、一子ちゃんの恐ろしい呪いとかじゃないですよね?!」
 由佳里は興奮したりすると昔の癖で僕を「お姉さま」と呼んでしまう。…う〜ん、由佳里も一子ちゃんのことを本当に好きなんだと思うけど、予想以上の展開に「怖がり」がぶり返したみたいだ。
 「なるほど〜一子ちゃんは由佳里の中に入り込んで、遺伝子組み換えをしたわけね…さすがは幽霊」
 「ゆ、幽霊と遺伝子組み換えってあまり接点が無いんじゃないかな…って、まりや?!帰って来るのはもうちょい先じゃなかったの?」
 「あのねぇ、せっかくかわいい妹に子どもが生まれたお祝いに来てるんだから…細かいことは気にしないの瑞穂ちゃん!ハゲるよ?」
 「でも良かったのですよ〜由佳里ちゃん。遺伝子組み換えって失敗したらハエ男とかになってしまうと言いますし…」
 これもまたいつの間にか来ていた奏ちゃんが、なんだかとても失礼なことを言っているのだけれど…きっと嬉しくて興奮して自分でも何を言っているのかわからない、ということにしておこう。
 「…ってちょっとやめてよ奏ちゃん!まだしばらくこの病院に入院してないといけないのに〜」
 久しぶりの姉妹が集った病室の賑やかさと言えば、まるで恵泉時代の寮の活気そのものだった。あとで看護婦さんにたっぷり絞られたけれど。

 そして僕はと言えば…まだまだ赤ちゃんにつけるのは早いんだけど、一子ちゃんと同じ髪留めを買いに行ったりして、二人の退院に備えた。

 「わ〜やっぱりわが家はいいなあ。」
 由佳里は懐かしい玄関の匂いに喜びを感じているようだ。
 「僕も嬉しいよ。また由佳里と一緒に暮せるし、今度ははじめも一緒だからね」
 「病院じゃ食事制限とかでぜんぜんハンバーグとかダメだったんだから。ううう〜」
 「はいはい、そう言うと思って、退院祝いに作っておいたよ」
 「わーい!お姉さま、ステキ!」
 「コラコラ、また呼び名が戻ってる」
 本当は料理は圧倒的に由佳里の方が上なのだが、ことハンバーグに関しては自分で作るより作ってもらった方がおいしいらしくて。おかげで和食の出現率は恵泉時代並みなんだけど、由佳里の笑顔には代えられないなあ…。
 「さ、起きなさい。ここがあなたの家よ」
 由佳里がゆりかごのはじめを起こそうとするので、僕はついでとばかり、すぐに外すつもりではじめに髪どめをつけてみる。心なしか、はじめの瞳に輝きが増したような…?

 「お姉たま」

 由佳里以外の聴き慣れない声が、なぜか懐かしいような不思議な声がした。あわてて辺りを見回しても他に誰もいるはずもなく。
 「まさか…」
 由佳里と僕は顔を見合わせた。

 「お姉たま」

 声の主は、間違いなくはじめだった。

 「〜〜〜〜〜〜〜〜ひいいいいいっっっ!!!」
 由佳里が出産直後の女性とも思えぬ機敏な動作で台所の冷蔵庫の裏まで飛んでいった。そこから顔を半分出しながら、はじめを抱く僕に震える声で尋ねる。
 「な、何なの?やっぱり、変だよこの子…一子ちゃんの呪いだよ…」
 確かに生まれてすぐの赤ちゃんがちゃんとした言葉を言うなんて、僕もかなり驚いてしまったのだけれど、それと同時に何か別のショックが僕を襲っていた…
 お姉たま…?それって、もしかして…この子の目線は…やっぱり…僕のことかな?
 まあしかし、それはさておいて、母親が実の子を怖がってるというのも何かまずいので、僕が由佳里を宥めないといけないのだろう。
 
 「由佳里、大丈夫だよ。この子は確かに一子ちゃんが僕たちに与えてくれた新しい命だと思う。…だから一子ちゃんに似てる。おしゃべりなところまでね。でも、何もかも同じってわけにはいかないみたいだね。この子は僕と由佳里の子どもとして、新しい思い出を作って行くんだろうから…」
 一子ちゃんに辛い記憶は似合わないから…それは、僕たちが憶えているだけで、いい。
 そう、一子ちゃんは今度こそ、幸せをつかむ権利があると思うから…。

 しばらく何かを考えていたらしい由佳里は、おずおずと僕たちに近づいて来て言った。
 「ごめんなさい…私、あなたにまた会えたのに、喜べなくて、怖がってばっかりで…お母さん失格だよね…。本当はね、ずっと、会いたかったんだよ、一子ちゃん。来てくれて…ありがとう」
 由佳里は僕からはじめを受け取って、しっかりと抱き締めた。
 「おかえりなさい」

(あえて、蛇足)


 「で…お母さん失格のついでにね…」
 「?」
 「私のことも『お姉さま』って呼んで?」
 「…キミはお母さんでしょうが」
 「だってお姉さまばっかりずるーい」
 …ってまた…

 「・・・」

 由佳里は妙に気合の入った表情でじっとはじめを見詰めるが、反応はない。
 「うそをついてもわかっちゃうんだよ、赤ちゃんには」
 「えーっ、それこそうそだよー!」
 もう母親の威厳のカケラもないな…元気が出たのはいいのだけど。
 「さ、もう一度、さっきみたいに、ね?」

 「・・・」

 長い沈黙ののち、はじめが由佳里を見据えてはっきりと言った。
 誰も聞き間違えないくらい、はっきりと。

 「はんばーぎゅ」

 「…へ?」
 またもや予想外過ぎる言葉だったが、なんだか由佳里の反応がおかしい。顔に影が射しているように見えるのは気のせいだろうか。
 「ハンバ…何よそれ…あなたまで…私を?」
 由佳里はブツブツと一人の世界に入ってしまったようだ。ヤバイ予感がして、僕ははじめを受け取ったが、その途端由佳里は意味不明な叫びと共に食卓の方へ駆けていった。こういう所はまりやに似ている…さすがは妹、とか感心してる場合じゃない!どうしたんだ由佳里?

 「何よ何よ!ハンバーグ大好きで悪かったわね!!どうせ、どうせ私は!妖怪ハンバーグ女よぉ!!!」

 そこには泣きわめきながら二人前のハンバーグをヤケ食いする一児の母がいた。

 僕の知らないうちに…何かあったのかな、由佳里…。


 後で偶然聞いた所によると…出産前にハンバーグが食べれなくて禁断症状の出ていた由佳里は、病室で夜毎、「お姉さま…ハンバーグ…」とうわごとを言っていたそうだ。


(今度こそ終わり)

の〜がき

 やっちゃいました。某巨大掲示板のネタキャラ化ですいません…。
 それから、妊婦は刺激物を控えたほうがいいらしいと聞いたので、こうしたのですが、はてさて…(脱兎

扉